日本財団 図書館


 

び付く可能性が高くなっており、現に災害発生率の高まりはこの辺に起因していると考えられます。
従って災害防止の観点から、従来から言われている安全器具の装着のほかに、乗組員の精神の安定を図ることが第一に肝要であり、第二に、常にリスクを背負って、海上で生活しているという意識を持続させることが必要と思います。
しかしながら精神面でのコントロールは言うに易く行うに難しで、特に作業能率の向上としばしば相反することになり、具体的対策は非常に困難であると思いますが、船長や漁撈長は意識的にミーティングを設けたり、あるいは食事時などにストレス解消の場を設けるなどして、船内融和につとめる努力が必要であると思います。
また、その他の乗組員は、指示された事項をこなすだけという受け身の姿勢だけでなく、互いに同僚への気遣いをすることが必要であると思います。
袖すりあうも多生の縁という諺がありますが、袖が触れ合うところか同じ釜の飯を長期間一緒に食べるわけですから、また同じクルーの組合せての出漁というのはめったになく、今回一回限りの与えられたメンバー構成であるということを考えてもらえば、同僚への気迫いも自ずと生まれてくると思います。
また長期間の操業にあたっては、食事のこともおろそかにできません。
昨今は飽食の時代とも言われ、船舶食科の積込みもそれを反映してか、基準を大幅に超過して積込む船もあると聞いていますが、必ずしも栄養バランスがとれているとは思われません。
高カロリーのインスタント食品に偏りがちと思われますので、意識的に野菜を含め、多品目の食品を取るよう、心がけてください。
乗組員の高齢化に伴い災害疾病の上昇も懸念され、また精神衛生上も基本は食事にあるわけですから、おろそかにできない重要なことと考えます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION